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幸せな最期の願いとは

最近では、お墓に入らない選択も認められてきた感がありますが、ご本人がそう選択したとしても、ご家族がそれを良しとしないケースも多々あります。そして、お墓に入れなかったばっかりに後で後悔した…というお話も耳にします。一方では、本人の最期の願いを聞き入れることが出来て安心した、という方もいます。

 

いったい、どういうことだと思いますか? どこで違いが起きているのでしょう?

 

かつて、私が出会ったケースではこんな方がいらっしゃいました。 一人暮らしをしている独身の叔父さんをお持ちだった男性です。 男性の父親代わりだった叔父さんだそうで、叔父さんが亡くなった時には自分が采配をした、と仰っていました。 

 

男性をAさん、叔父さんをBさんとしてお話を進めますと、Bさんが信仰していた宗教の関係上、Bさんは神社やお寺参りはもとより、お墓参りもしなかったそうです。そして、「自分が死んだあともお墓に入れないでほしい。葬式もするな、火葬だけにしてくれ。」と、常々Aさんに言っていたとか。 それを聞いた他の親族は「お墓に入れないでなんて罰当たりな!」と怒る人もいたそうですが、Bさんが信仰を持つようになってから、生活の質がみるみる上がり、幸せそうにしている様子を見るようになったAさんは、「叔父さんの願いはぜひとも聞いてやろう」と思っていたそうです。

 

そして、それから数年後。Bさんは発作を起こしてそのまま帰らぬ人となりました。 Aさんたち親族が病院に駆け付けたときには、Bさんと同じ信仰をもつ人たちが集まっていて、その中にいた年長の男性からこう言われたそうです。
 
「私たちの宗教では葬式もお墓もありませんが、ご家族のお気持ちが最優先です。どうか、縛られること無く納得いかれるお別れをなさってください」

Aさんはその場では「分かりました」とだけ返事をしたそうですが、Bさんを棺に入れて連れて帰ると、同じ信者の女性たちが食事を準備してくれたり、Aさんの親族たちに優しい気遣いを示してくれている姿を見て、「叔父さんはこの人たちと宗教を通じて良い関係だったんだな」と、気持ちが落ち着くのを感じたそうです。その結果、以前から考えていた通り、Bさんを荼毘に付したあとは遺骨を拾う事もせず、位牌も作ることをしなかったそうです。

 

更に、Bさんは公営住宅にお住まいだったので、退去期限までに片づけをしなくてはいけません。 この退去期限、民間でしたら話し合いの余地があるのかも知れませんが、公営住宅だとそうもいかないようで。Aさんが、どうしたものかと思っていたところ・・・
「ご家族で思い出の品を選ばられたあと、差支えなければ私たちで片付けますよ。ご家族より手が多いですから」という申し出があったそうです。 

 

どのみち、形見分けの後は、業者に全て引き取ってもらわないと間に合わないと思っていたAさん、「では掛かった費用は請求してください」と、この申し出をありがたく受け入れました。 そして後日、「全て終わりました」と渡されたのは、鍵と片づけにかかった実費のレシート。更に後から見つかった貴重品も、Aさんの手元に届いたそうで

 

「ネコババしても見つかりっこない状況で、ちゃんと戻してくれて、しかも請求された中身はごみ処理に掛かった費用だけだったんです。こんなに誠実な人たちと一緒に過ごせて、叔父は幸せだったに違いないと思いました」と仰っていました。

 

Bさんが幸せな人生を歩めたことが分かって、Aさんもとても安心なさったことでしょう。 これはあくまでも一例ですが、存命中から常々自分の願いを話していたBさんと、それを受け止めていたAさんのコミュニケーションがうまく機能していた好例です。 ただ、その願いを受け止めきれないご家族のお話もお聞きしていますので、やはり一方的にならない、お互いに理解しあえる話の仕方が重要になってくるなぁと思う今日この頃です。

 

散骨はある意味この数年でちょっとしたブームになっていますが、正直、ブームという言葉を当てはめるのも違うんじゃなかろうかと思っている自分がいます。 Bさんのように宗教上の理由がある方、無い方、両方に言えることだと思いますが、「お墓に入らない」理由を家族に伝わるように言うこと、これが最初のスタートでしょう。

そうすることで、ご家族も願いを聞きやすくなりますし、またそうしないと、思いもよらぬことで何年も過ぎたあと、家族が悩みを抱えてしまう結果にもなりかねません。


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