平成29年度総務省の情報通信白書によると、2016年の世帯における情報通信機器の普及状況のうち「パソコン」の世帯普及率は73.0%、「スマートフォン」の世帯普及率は71.8%となっています。
世帯当たりの数字になりますが、7割を超えて普及しているということは、パソコンやスマホ、タブレットはもはや現代人の生活に欠かせないものとなっています。
インターネットで買い物をしたり、調べものをしたり、SNSで仲間とコミュニケーションを取ったり・・・と、パソコンやスマホ・タブレットは私たちの世界を広げてくれるものですが、一方でパソコンの持ち主が亡くなった場合、思いもよらぬトラブルが起きるときがあるようです。 そうならないためにも、「デジタル終活」に一度目を向けて、適切な管理をすることが大切です。
インターネット取引と終活
終活に欠かせない「お金」の話を一例として、デジタル終活を考えてみましょう。
銀行預金は「預金通帳」がありますので、通帳現物で預金状況を確認出来ます。 しかしその他の金融資産、例えば株式証券は現在電子化されているので、所謂「株券」は発行されません。(参考サイト⇒「0からはじめる株式投資」)
取引証券会社のサイトから、発行されたパスワードとユーザーIDを使ってログインし、株式取引を行います。 ですから家族に知らせることなく株主が病気で長期入院したり、最悪の場合、亡くなってしまうと、残された家族はそれを調べるのが大変です。 株式の場合は、銀行預金のように相続で均等に分けることが出来ないので、別な意味で手続きが煩雑になりますが、それはまた別の機会に。
ですから、少なくともエンディングノートなどに、自分の資産状況と必要なIDやパスワードを記載して、信頼のおける人にその旨知らせておくことが大切です。また、「デジタル遺品」が危ないという本の中には、外国通貨の売買で損益が発生するFX取引での例が紹介されています。 取引をしていた人が交通事故で亡くなり、亡くなった2日後に1500万円の損が発生したというものです。
引用元の本です。
もしかしたら、世のご主人の中には、「妻はこういうことに疎いから」と知らせずに取引をしている方もいらっしゃるでしょう。 それ自体は悪い事ではありませんが、 自分亡きあと家族が相続放棄で住むところすら手放さざるを得ない場合がある(本当に最悪のケースだと思いますが、可能性はゼロではないのです)ことを、想定しておいて頂きたい。 だから、デジタル終活は「した方がいい」ものではなく「すべきこと」なのです。
貴方亡きあとのSNSは?
私たちの生活にすっかり定着したSNS。 あなたが死んだあと、これらのアカウントはどうなるでしょうか? 参照元は2016年の記事で少し古いものですが、SNSのサービスごとにアカウント所有者が亡くなったあとの対処について書かれています。 ぜひ参考にしてみてください。 (参照元⇒カラパイア内の記事より)
方法① アカウント所有者が事前に「追悼アカウント管理人」を指定する
方法② 亡くなった人のアカウントを家族や友人が申し出ることで「追悼アカウント」にすることができる
方法③ 完全に削除する
という3つの方法を選択できるようです。
ツイッター
アカウントの削除のみ可能。 近親者や遺言執行者がアカウントの削除依頼をすることができる
Google
の場合は、GmailやYoutube、googleフォトやドライブなど1つのアカウントで利用できるサービスが多岐に渡るため、近親者が管理することは難しいと言われています。ですから、Facebookのように自分亡きあとの管理人を決めるより、生きているうちに、自分亡きあとのアカウントの処理をどうするか決めておく方が望ましいといえます。 Googleには、「Googleアカウント無効化管理ツール」というサービスがあるので、事前に設定しておくとよいですね。
①アカウント無効化管理ツールを有効にするか無効にするかを決める⇒②アカウントが長い間使用されていないとgoogleが判断する期間の長さを決める⇒③知らせたい相手と公開したいデータを選ぶ(データを公開されたユーザーにできるのは閲覧のみ、アカウントの引き継ぎは不可)⇒④アカウントを削除するかどうか決める という4つのステップで設定します。
Googleアカウント無効化管理ツールの設定手順は、こちらのサイトを参考にさせて頂きました⇒朝活のススメ
インスタグラムは、アカウントの削除かそのまま残すしか選べない、となっています。
アカウント所有者が亡くなった場合の対処方法を余りオープンにしていないそうです。
いずれにしても、自分の死後にきちんと対処してくれるものかどうかを調べることがまず第一といえます。 生きている人のアカウントですら、乗っ取られてしまうケースも見受けられるSNS。 他人に迷惑を掛けないために、残された家族の負担にならないために、自分が元気なうちから管理する方法も調べておきましょう。
デジタル遺品で注意を払いたい6つのことと、起きやすいトラブル例
下記は株式会社Wish Lane様のサイト(デジタル遺品処理オプションのページ)より抜粋したものです。
- インターネット銀行口座・FX⇒通帳が無く遺族が分からず相続していない
- SNS LINE・Facebook・Twitter・ブログ⇒スパム乗っ取り、成りすましの被害。ネット上に情報が世界中に広がり永久的に残る。
- PC内の写真・重要書類・顧客リスト⇒ロックがかかっていて確認できない。
- ネット会員、ゲームやアプリケーションのアカウント⇒使用料会費の引き落とし。アイテムの売買などで金銭トラブル。
- ネットオークション・ネットショップ⇒取引の未完了や料金未払いなどのトラブル。
- 個人情報(連絡先・パスワード)⇒データ流出。クレジット・パスワード個人情報を盗まれ悪用される。
いずれも本人が元気なうちには、どれも問題なく管理できるものですが、身辺整理について書いた記事でも述べているように、可視化できないデジタル遺品は、可視化できる「モノ」の処理の何倍も大変です。 「自分の死後」がイメージつかなくとも、認知症などで判断能力が著しく衰える場合もあります。また、若い人であっても急病・事故などで自分が動けなくなってしまうことは充分にありえるのです。
ですから猶更、何を誰に託すか元気なうちに考えておきたいものです。 また、技術的な処理に関しては専門の業者さんもいらっしゃいますので(上記WishLane様も対応可能な会社様です)、専門家に相談されるといっそう安心です。
まとめ
- 株や外国為替取引など、オンライン上の金融資産状況を、エンディングノートを使って整理する
- 自分亡きあとのSNSのアカウントについての対処方法を決めておく
- パソコンの中やクラウド上に残したいデータと削除したいデータ(他の人には見られたくないデータ)が混在しているならば、自分が元気なうちに整理しておくこと。
- 場合によっては、専門家に事前の相談をする
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